鉄塔・送電線に近寄って欲しくない理由

電力社員

「あのー、この辺でクレーン使う予定はありますか?」

「この付近での釣りは危険ですよ」

「凧揚げやめてください」

 

なんか、電力会社から見張られてるみたいで嫌なんだけど。

 

 

 

今回はこんな疑問にお答えします。

皆さんは電力社員・もしくはパトロールしている委託員さんにこのような言葉を掛けられた事はありませんか?

たぶん、建設作業や足場組立作業員の方などは一度は声を掛けられた事があるかもしれませんし、答えは分かっているかもしれません。

が、今回は今一度、電力会社がここまでして送電線の周辺をパトロールしているのかについて解説していきます。

 

 

僕の自己紹介を簡単にすると、旧電力会社の送電部門(現在は分社化してグループ会社)で送電に関わる仕事をしています。

年間数億円規模の送電線の工事を担当しているラインマンです。(再エネ関連も担当経験有)

僕の基本情報はプロフィールをご覧ください。

記事の内容
  • 電力会社が鉄塔・送電線に近寄って欲しくない5つの理由
  • 感電だけじゃすまない件について【損害賠償請求だってあるよ】
  • 電力会社のパトロールにキレないで!

この記事を読めば、いかに鉄塔の周辺が危険かどうかが分かるかと思います。

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電力会社が鉄塔・送電線に近寄って欲しくない5つの理由

危険な理由5つ

結論、近寄って欲しくない理由は下記5つです。

近寄って欲しくない理由
  1. 感電する
  2. 市町村単位で停電する
  3. 意外に汚い
  4. 壊したら損害賠償
  5. 季節によっては物体が落ちてくる

 

こんな感じになります。

 

この中でも"電線への接触"による感電・停電の2つが最も危険であり、取り返しのつかない事になるので注意が必要です。

感電・停電の原因になる事象については下記の通り。

停電になる原因
  • クーレンを送電に近づけて地絡・停電 ★
  • バルーンフェスティバルなどで送電線付近でバルーンを飛ばして引っかかり短絡・停電
  • 線下で凧揚げして地絡・停電 ★
  • 送電線付近の川で釣りをして釣り糸を引っ掛けて地絡・停電 ★
  • 伐採作業で木を送電線に引っ掛けて地絡・停電

※"★"のついたものは感電の可能性もあります。

 

感電と停電は発生させてしまうと取り返しのつかないことになります。

なにせ、人の命に関わってくることなので。

原因究明のために電力社員は三日三晩働き詰めになります。

 

この中で特に頻度が高いのはクレーンの接触事故です。

なので、送電線下で建物が出来たりバックホーなどの重機が動き出したら、電力会社はその周辺を警戒して頻繁にパトロールし始めます。

実際に線下でクレーン作業をする場合に危険だと感じたら見に行くくらいなので、本気で警戒しています。

 

それでは「近寄って欲しくない理由」について深堀りしていきます。

 

理由1:感電する

 

これは言うまでもないですね。

クレーンは操作しているオペレーターや周囲にいる人、凧揚げや釣りは実際にやっている人が感電します。

 

ところで、皆さんは送電線(特別高圧)で感電した場合にどうなるかご存知ですか?

以前僕はこの事について、Twitterで発信したら、プチバズがおきるくらい反響がありました。

 

こんな感じになります。

特別高圧は電圧がかなり大きいので(ピカチュウの10万V以上)感電した場合、電路が脳や心臓を経由すればほぼ即死です。

運良く生き残ったとしても、電気が走った後が一生残りますし、後遺症になる可能性があります。

 

この事実を知っていても送電線の付近でクレーン作業や凧揚げ、釣りをする覚悟はありますか?

どうしても、という時は近くの電力会社に相談してください。

理由2:市町村単位で停電する

 

これも言うまでもないですね。

送電線はいわば人体で言う"大動脈"です。

送電線での停電というのは市町村単位、更に大きい系統(送電線経路)だと都道府県1つにまで波及します。

 

その他にも工場や大きな病院などの"大規模施設"に電気を供給している送電線であれば、工場なら生産が止まりますし、病院もいきなり電気が停まる可能性が出てきます。

生産や人身に関わるところにも波及してくる訳なんです。

 

工場なら10分ラインが停まるだけでその日の"売上数千万円"と機器が故障してしまった場合は"機器代数千万"、それらの損害賠償を請求される可能性があります。

トータルで数億円になる可能性も…。(半導体メーカーがついている送電線の損害賠償は恐ろしい額になります…)

 

当然それは停電を起こした人に損害賠償を請求される訳で、場合によっては会社が1つ倒産してしまう可能性だってあります。

電力会社はこういった賠償請求が届いても"責任の所存が発生させた側にあれば"容赦なく請求します。(そのために、線下での作業の場合は一筆書類を取り交わす場合もある)

 

「これだけ注意しても停電を発生させてしまったら悪いのは電力会社ではなく、そちら側でしょう」っという考えです。

一昔前までは"送電線下での作業の危険な理由"について現場でも丁寧に説明していましたが、最近はコスト削減のために現地でも書類を一筆交わして終わり、っという地域もあるかもしれません。

 

何気ない紙ですが

  • 電線との離隔距離
  • 責任の所存
  • 安全対策

ここらへんの内容がびっしりと書かれています。

 

停電なんて発生させても"電力会社"にも"発生させた側"にもメリットなど1つもありません。

 

なので、パトロールして線下での作業を警戒している訳なんです。

億単位のお金を支払う覚悟はありますか?

もし、送電線の線下で作業をする場合は迷わず近くの電力会社に相談して下さい。

 

理由3:意外に汚い(フンや死骸がごろごろ)

 

鉄塔の周りって動物にとってもわりと快適な場所なのか、結構"トイレ"になっている事が多いです。

なので汚いです。

 

この他にもカラスが巣を作る時期は鉄塔の周囲はフンだらけになりますし、場合によっては落ちてしまったヒナが死骸となって何日も放置されている場合があります。

子供がこんなの見つけて興味を持ってしまうと大変ですよね。

カラスは野鳥なので感染症を持っている可能性もあります。

 

僕はカラスを巣を除去する時は臭いがキツいのでマスクをする人間なのですが、鳥インフルエンザが流行した時は必着でした。

 

鉄塔の周辺は思っている以上に汚いです。

注意しましょう。

 

理由4:壊したら弁償して貰います。

 

農耕トラクターなんかが鉄塔周辺で作業してしてぶつけてしまい、アングルを曲げてしまう事件はよくあります。

その時は弁償してもらいます。

 

細いアングルを曲げただけでも「資材代+工賃」で数十万円になる事もあります。

 

ぶつからないように対策はとっているのですが、数年に1回はぶつけてしまう農家さんがいます。

 

画像は注意喚起用の虎柄のアングルシールドです。(見えづらくてすみません。)

鉄塔

 

壊してしまったものは弁償してもらうスタンスなので、鉄塔周辺で重機作業をする場合は注意してください。

 

理由5:季節によっては物体が落ちてくるよ

 

雪国の地域だと、着氷した雪が電線から落ちてくる可能性があるので、注意が必要です。

着氷

 

こんなのが氷の塊となってドサドサ落ちてくるので、人に当たったら危険です。(もちろん対策はしているのですが、自然驚異には勝てない場合も…)

また雪は鉄塔にも付着する可能性があるので、鉄塔材から落ちてくる可能性もあります。

 

あとは上でも少し説明しましたが、カラスを"フン害"もよくあることなので、急にカラスが電線に止まりだした時はなるべく下を歩くのは避けたほうが良いでしょう。

 

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感電だけじゃすまない件について【損害賠償の可能性もある】

損害賠償請求

大事なことなので2回説明します。

電線に接触してた場合は、当然ですが感電の危険があります。

ですが、感電と同等に怖いのが停電によって発生した"損害賠償"です。

昔は裁判沙汰にもなったって言うのを結構耳にします。

 

送電線は特高需要のあるお客さんにも電気を直接送っているので、配電線と比べ物にならない電圧を扱っています。

主に工場や病院、大型ショッピングモールなのですが、これらが10程度停電しただけでも損失は数千万円〜数億円になります。

このお金を誰が払うのかと言ったら、"電気を送っている電力会社"か"事故を起こした人or会社"になるわけです。

 

一度の停電で損害賠償を請求されてしまうと、1つの会社が潰れる位にまで発展してしまいます。

 

なので、送電線下でのクレーンや重機作業、またはバルーンフェスティバルや凧揚げ等の祭りがある場合は必ず電力会社に相談するようにして下さい。

電力会社のパトロールにキレないで!

怒り

電力会社のパトロールは基本しつこいです。

今はコスト削減で頻度は減っているかもしれませんが、それでも結構な頻度でパトロールしています。

 

上記でも説明したように、感電と停電から人を守るために行っているので。

 

なので、作業中にいろいろ聞かれてウザいと感じるかもしれませんが、行き着くところは"人を守るため"なので、お互いの安全のためにも耳を傾けるようにしてください。

まとめ

 

電力会社が鉄塔・送電線に近寄って欲しくない理由は下記の通りです。

近寄って欲しくない理由
  1. 感電する
  2. 市町村単位で停電する
  3. 意外に汚い
  4. 壊したら損害賠償
  5. 季節によっては物体が落ちてくる

 

とくに感電と停電だけは本当に取り返しのつかないことになるので、十分に注意して下さい。

何かあれば即効で近くの電力会社に相談してください。

 

今回は以上です!

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