
電力会社っていろいろ変わっちゃったけど
これから電気業界はどうなっていくの?
これからも電気業界で働いていくことは可能なの?
こういった疑問について解説します。
2020年で電力会社が大転換期を迎えることは僕のブログでは毎回のように書いてます。
では、電力会社が変わることで電気業界への影響はどう出てくるのだろうか?
この辺について説明します。
僕の自己紹介を簡単にすると、旧電力会社の送電部門(現在は分社化してグループ会社)で送電に関わる仕事をしています。
年間数億円規模の工事を担当しているラインマンです。
僕の基本情報はプロフィールをご覧ください。
- 電力の自由化と発送電分離がもたらす電気業界への影響
- 電気業界で働いていくことは将来的にも安泰か?
- 電気業界も働き方に付加価値をつけないといけない【職人気質はNG】
- まとめ
この記事を読めば、10年後くらいの電気業界について見通せると思います。
これからの自分の働き方を考えるきっかけになればと思います。
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もくじ
電力の自由化と発送電分離がもたらす電気業界への影響
電力の自由化と発送電分離が電気業界へもたらす影響は大きく2つ
- 電気主任技術者・電気工事士の需要増
- 地方での働き口が増
電気業界の需要は今後増えていくだろうというのが僕の見解です。
電力の自由化にしかり発送電分離にしかり業界にもたらす影響は意外に大きいのです。
ではなぜなのか?
深堀りしていきます。
電気主任技術者・電気工事士の需要増
電気業界で働いている人は薄々気づいているかもしれませんが、電気主任技術者と電気工事士の需要は増えるでしょう。
- 電力の自由化によって新電力の発電設備(特に再エネ関係)が増えたこと、工場や大口需要家が自家発電設備を設け始める。また今後もどんどん増える。
- 発送電分離によって、電力会社(旧電力&新電力両方)からの保守委託の可能性もありえる
- 電気の需要はエネルギー業界の中でも伸びる一方
この3つが主な理由です。
電力の全面小売り自由化が発表されたのは2016年。FIT制度が法律で整備されてから新電力事業の旧電力会社への申し込みは2020年現在でもかなりの数になっています。
新電力の発電設備が増えると、それだけ設備を管理する人間が必要となってきます。
また、FIT制度開始直後は旧電力会社が自社送電線から事業者発電設備へ送電線を繋げていましたが、今後も同じような対応になるとは限らず、むしろ事業者が旧電力会社の送電線(受電点)へ繋げにくるといった傾向の方が最近は強いです。
そうなると、送配電設備の保守・修繕も自分たちでやらなければいけません。
管理するのは電気主任技術者、工事・施工するのは電気工事士が必須です。
発電所・送配電線が増えるほど"人"が必要になってきます。
また、大規模工場や大口需要家もリスクの少ない自社発電設備に切り替えていく可能性も有りえます。
送電線から受給するにあたって、送電線のこう長(電線の長さ)が長いほど停電事故のリスクが増えますからね。
1分停電するだけで工場の損害は計り知れません。
ここでも、やはり"人"が必要になってきます。
化石燃料をやめて水素を使おうと、メタンハイドレートを使おうと"電気"というエネルギーだけは僕たちの生活に欠かせないものです。
その電気を管理・施工する人の需要は今後も増えるでしょう。
地方での働き口が増
これは単純に新電力の発電所や工場が土地の広い田舎に多く参入してきているからです。
いまさら旧電力会社の発電所の近くや都市部に新規電気事業や工場を設けたところでコスパ悪すぎます。
土地が安くて余っている地方に発電設備や工場を設ける方が理想的です。
実質、太陽光発電は発電にかなりの面積が必要なので田舎の山をがんがん削って太陽光パネルを設置しています。
発電所と送電線だけでも何百万本にも及ぶ木を伐採しています。
この行為が本当にクリーンなのか、僕には些か疑問ですが。
事業者は一回「もののけ姫」や「平成狸合戦ぽんぽこ」観たほうが良いんじゃないかって思うくらいです。
特に管理者なんて常に設備の近くにいないといけませんからね。
電気業界で働いていくことは将来的にも安泰か?
電気業界の需要は増えるので「電気主任技術者」や「電気工事士」が働き口に困ることは無いというのが僕の見解です。
特に電気主任技術者は、新電力や工場から引っ張りだこになると思います。
AI・IoTに代替される可能性は無い
先日僕はこんなツイートをしました。
電気という仕事はある意味職人仕事であるため、電気工事士なんかこの先を見てもまだまだ安泰だと思う。
だってジョイントや配線作業はどう頑張ってもAIやIoTが出来るとは思えない。
数字で表現出来ない分野が今後生きる残ると言われているけど、電気工事士はその中に入ると思われる。— TOKAGE@電気業界を照らす者 (@grid_life_pop) August 2, 2020
割と反響もあったので、少々深堀りします。
結論から、「電気職人」という職業がAIやIoTに代替される事はありえません。
ジョイントや配線作業は人間にしか出来ないからです。
これらは全て頭で考えて作業します。
「感情」や「操作」に関わる分野はAIの苦手分野であり、未だどんな天才を持ってしてもこの2つを数字で表す事が出来ていません。
数字で表せないものは機械言語に出来ないので、AIに叩き込むこともできません。
電気工事はこのAIの苦手分野にドンピシャなのです。
AIの将来性や特徴なんかを勉強するはこの本で十分です。
正直読まない理由がないくらいの良書です。
需要が伸びる電気業界の「管理」と「施工・工事」に関してはこれからも安泰だと思います。
ちなみに、「電力会社」の仕事は数字を扱うマニュアル仕事が殆どなので、AI代替されやすいです…
電気業界も働き方に付加価値をつけないといけない【職人気質はNG】
今までの習わしだと、電気業界って割と「職人気質」な人が多く
技術一筋・初志貫徹・温故知新みたいな人が多いですが、それではこれから働いていくには少々厳しいかと思います。
僕が前担当していた再エネ関係の案件の中で、事業者の担当の1人に「第二種電気主任技術者」というスーパーな肩書をもっていながら再エネ事業コンサルをやっている方がいました。
電気主任技術者でもコンサル業をやる時代になってきているのです。
さらに言えば
もう少し先の話になるかと思いますが電気業界も「フリーランス」で働ける時代が来ると予想しています。
実際、電気◯◯協会で働きつつ固定のお客さんが自分についたら、退職してフリーで働いている人もいるのです。
Webや機械のソフトウェアエンジニアも現在フリーランス化が進んでいます。
なので、単純に現場スキルを求めていくばかりでなく、コンサルやマーケティングなど業界スキル外の知識を習得して掛け算的にキャリアを築いていくのが重要かなと思います。
現場スキルだけだと上には上が絶対いるわけで、勝負する場所を1本に絞るといずれ限界がきて淘汰されます。
それに「職人気質な人」って今のY世代やZ世代からめちゃくちゃ嫌われています。
単純にコミュニケーションの取れない人だと思われるからです。
本業の現場スキル以外にもどこか別なステージ・土俵で勝負を仕掛けないと数いる相手との差別化もはかれません。
働き口があるとは言いながらも、自分に付加価値をつけていかないと市場価値を上げていくのは難しいです。
自分のキャリアを築くどこかのタイミングで、全然違う業界のスキルを習得する機会を自分に設けてみてはいかがでしょうか?
今回は以上です。
それではまた次回!